ハムスター

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ハムスターはキヌゲネズミ亜科に属する齧歯類の総称。ペットや実験用動物として知られているが、野生ではヨーロッパからアジアの乾燥地帯に分布し、地中に掘ったトンネルで生活している。野生のハムスターは数が少なく絶滅が危惧されている。厚い毛皮をもち、尻尾は小さい。ゴールデンハムスターなどでは、尻尾が毛皮のしたに隠れてしまいほとんど目立たない。果実や木の実などを食べる。大きな頬袋をもち、そこに食べ物を詰め込んでいる姿がしばしば見られる。夜行性。体重は、ジャンガリアンは30-50g、ゴールデンハムスターで80-150g。寿命はジャンガリアンハムスターで2年、ゴールデンハムスターで3年ほどである。

ハムスターの中でもよく知られているのが、ゴールデンハムスター(シリアンハムスター)である。ペットとして飼われているゴールデンハムスターは、1930年シリアで捕獲された1匹の雌とその12匹の仔の子孫が繁殖し、世界中に広まったものである(その後、野生種は発見されていないため、現存するゴールデンハムスターは皆彼らの子孫である。)。1931年にロンドン動物園でハムスターが展示・一般販売され、それ以後ハムスターがペットとして飼われるようになった。ちなみにハムスターは生まれて3週間ほどで成体となり、生後2ヶ月で繁殖が可能となる。

ハムスターは人によく馴れて飼いやすく、その為ペットとしてよく飼われている。単独飼育が基本であるが、種類によっては同じケージに入れてもケンカしない場合もある。縄張り意識が強いため、噛み付いて外傷を負う事があるので注意が必要である。

ハムスターの運動不足解消として回し車がハムスターのケージに必ず入れられる。1日に大体5-20kmほど回し車で走る。また齧歯類である為、一生歯が伸び続けよくケージなどをかじる姿が目撃され、歯でケージに隙間を空け脱走する場合もある。

日本では1990年代末に漫画『ハムスターの研究レポート』でハムスターブームが起き、その後ハムスターを題材とした漫画やキャラクターなどが大量に作られた。

1956年、ハムスターが風邪に感染することが発見された。それまで、風邪のウイルスに高い感受性を示す小型の実験動物は知られていなかったため、この発見によって風邪に関する研究が大いに発展した。だがハムスターも人によっては特有のアレルギーを誘発し、稀なケースとしては2004年9月に日本人の男性がハムスターに噛まれたことによりアナフィラキシーが発生、更に持病であった気管支喘息を誘発し死亡した。

分類[編集]

ペットとしてのハムスター[編集]

以下で示す飼い方は特に記述がない限り、市販の飼育本などで書かれている一般的なものである。

用意するもの[編集]

ケージ
種類 長所 短所
金網タイプ
  • 市販のものが豊富にある。
  • 軽量である。
  • 風通しがよい
  • 冬期間は寒い。
  • 組み立てが複雑な場合がある。
  • 金網をハムスターが齧って歯をダメにしたり、よじのぼって落下したり、脱走される可能性がある。
  • 床材が外に飛び出る。
  • 壊れやすい。
  • 窓が狭い。
水槽タイプ
  • ケージの外に床材があふれない。
  • 冬期間は比較的暖かい。
  • 観察が容易である。
  • 湿気がこもりやすい。
  • 風通しが悪い。
  • 上部からしから世話が出来ない。
  • 掃除がしにくく、汚れが溜まりやすい。
  • 重いので移動が困難。特に小さい子供など力の弱い人には向かない。
爬虫類用ケージ
  • 風通しがよい。
  • 壊れにくい。
  • 比較的、他の種類のケージより広い
  • 掃除が楽
  • 高価である。
  • 入手しにくい。

ハムスターにもよく、飼い主にとっても使い勝手のよいケージとして、爬虫類用のものがある。少々値が張るが、ハムスターの安全と保温、広さ、掃除のしやすさを考えるとハムスターを最初に貰い受けるときにこの爬虫類用のケージを導入することを考えるのも良い。 金網ケージはハムスターが上ったあと、力尽きて落下し骨折することが多く、注意が必要である。特に歳をとったハムスターには水槽ケージや爬虫類ケージがおすすめ。金網ケージの四方を100円ショップ等で売っているクリアファイルや下敷きなどで「目張り」することで、安全に飼育している飼い主もいる。 なお、日本の多くのハムスター愛好家が使用している住居として、スーパー、ホームセンター等で衣類をしまう目的で販売されている、「衣装ケース」がある。安く入手しやすく、軽い、保温性がよい、サイズが広いなどの利点がある。キャスター付のものは不意に移動してしまうので、キャスターをはずして使用したほうが安全である。

エサ入れ

陶器製、プラスティック製など様々なものがある。ペットショップ市販されているものも、人間が使用している深さのある小さめの食器でも代用が出来る。 また、エサ入れとは別に野菜などの水分のあるものは別にエサ皿を用意しておくとよい。

巣箱

ハムスターが姿を隠せるような大きさのものを用意する。市販の巣箱でもよいし、ティッシュ箱などを使って作ってあげてもよい。

回し車(ホイール)

広いサイズのケージでない場合は運動不足解消の為に設置する事が望ましい。特にドワーフハムスターでは野生の状態では1日に数10kmも走るので設置した方がよい。回し車がはしご状になっているものはハムスターが足を踏み外して骨折をする場合があるので対策をする必要がある。 体の大きさに対して大き目のものを選ぶ。走っている時に背中がえびぞりになったり、外に落っこちてしまうものは小さすぎるので使用しない。(市販で売られているドワーフ用はドワーフハムスターには小さく、ゴールデンハムスター用はゴールデンハムスターには小さい事が多い)ドワーフ用の回し車は直径が12cmで、ゴールデンでは16cmで売られているが個体によって、大きさを選ぶのがよい。 また、回し車の芯にベアリングを使ったものもあり、音が小さいのでお勧め。

給水器

毎日新鮮な水を用意しボトル型の給水器を設置する。先端に水漏れ防止玉が付いていないものは水漏れに注意する。稀に給水器から水を飲むことを覚えない個体もいるが、その場合は深さのある皿に水を入れて飲ませる。ただし、皿がひっくりかえってたりしないように注意し、水も汚れやすいので頻繁に変える必要がある。(夏は毎日交換が基本)水は水道水でよい。しかし、ハムスターの健康や給水器の汚れやすさを考えると浄水器の水がややよい。またペットの水が市販されているが、それを与えるよりそのお金で新鮮な野菜を与えたほうがいいという意見もある。

床材

比較的安価で売られていて購入しやすい。針葉樹チップはハムスターがアレルギーを起こして、皮膚疾患や呼吸器疾患を起こす場合があるので使用には注意が必要である。

ポプラユーカリなどの広葉樹のチップ。針葉樹チップに比べると割高で購入しづらい。アレルギーを起こす心配のない安全な床材である。

吸水性がよくないので、頻繁に交換する必要があり、やや割高である。あまり長すぎないものを用意する。ハムスターが自分で齧って長さを調節できる。草食動物用のエサなので安全な床材でもある。

小動物用のピートモスが売られている。糞尿を分解してくれる作用があるので掃除は楽になるが、ハムスターの健康状態を把握しづらくなる。ハムスターが土に潜ったりするので汚れやすい。また、湿気が篭りやすいので注意する必要があり、プラスチックのトイレ等の下にカビが生えることもある。ストレスが解消されるためか、毛づやがよくなることもある。しかし、土は保温性が低いため冬の使用は控えたほうがよい。

  • 紙製床材

吸水性もよく安全性の高い床材。他の床材に比べて割高である。

簡単に手に入り安全性も高い床材。インクがハムスターについて汚れてしまう事がある。インク自体は誤って口にしても害はない。シュレッダーなどで細かくするか手でちぎって細かくしたものを敷き詰めて使用する。ただし湿りやすいので、特に梅雨場は注意する。

  • コーン

入手が比較的難しく、価格も高い。さらっとした感触が特徴で春~秋向き。冬は使用を控えた方がよい(他に気温が15℃を下回るような環境)。個体によっては食べることがあるので、そのような場合は通常の食事に差し支えるので使わない。商品によってはハムスターの体毛の油分をとり、毛並みが良くなるものもある。また、土のように(土ほどではないにせよ)掘って遊ぶことが出来る。難点は給水器の水が垂れる部位にカビが生えるので小まめに掃除する

巣材

シュレッダーにかけるか細かくちぎって与える。

  • 新聞紙

シュレッダーにかけるか細かくちぎって与える。

そのまま与えるかちぎって与える。湿気を吸いやすく、爪が引っかかりやすいので注意する。

爪がひっかかりやすく、口にすると腸閉塞を引き起こすので危険である。使用しない方が望ましい。

トイレ

基本は固まらない砂を使う。遊び場の砂として売られているものの使用も可能。固まるトイレ砂が市販で売られているが、ハムスターが口にすると腸閉塞を引き起こすので、なんでも口にしてしまう個体には使用しない。尿をした後が固まるので掃除がしやすい。

  • 紙製トイレ砂

紙製のトイレ砂。尿をした部分が濡れてわかる。比較的掃除もしやすい。

砂場
  • 焼き砂

ハムスターは水浴びをしない代わりに砂浴びをする事で体を清潔に保つ。ケージの中に砂場を設置できない場合は定期的に砂浴びをさせる事が望ましい。

キャリー

ケージ掃除中の待機場所や、通院時などの移動用に用意しておく。ケージと同じように、床材を敷き詰めて飲み水も用意する。あくまでも移動用なので、この中で飼育はしない。

温度計湿度計

温度管理、湿度管理の為に用意しておく。通常の温度計と湿度計がついたものでよい。園芸用などで、最高値・最低値の記録できる最高最低温室時計があると1日の中の温度変化、湿度変化がわかり便利である。

遊具

ハムスター用にパイプなどが売られている。パイプの中で寝てしまったりする場合があるので注意が必要である。また、分解掃除できないものは不衛生なので使用しない。

ハムスターボール

ハムスター自身で速度調整をしたり曲がったりする事が困難なので使わない方が望ましい。壁にぶつかったり、落下したりするおそれもあり危険である。使用中にハムスターボールの蓋が開き、脱走するということもある。

エサ[編集]

主食[編集]

市販の固形ペレットを与える。 粗たんぱく質が16.0%以上のものが好ましく、個体にあわせ、適切な粗脂肪の量のペレットを与える。ネット通販で実験動物用のペレットが手に入り、栄養価も高く、人気がある。 また、ミックスフード類はハムスターが好き嫌いをして特定のものを食べないことがあり、お勧めできない。

副食・おやつ[編集]

  • 穀類

蕎麦の実などを副食として与える。比較的低カロリーなのでダイエット用にもなる。

  • 野菜

副食として与える。キャベツニンジンブロッコリー小松菜青梗菜モロヘイヤなど。生で与える場合は水分の多いものは下痢・軟便になる場合があるので与えすぎには注意する。

  • 果物

副食として与える。リンゴ、乾燥パパイヤなど。生で与える場合は水分の多いものは下痢・軟便になる場合があるので与えすぎには注意する。

  • 動物性たんぱく質

副食として与える。ゆで卵の白身や、蒸したのささみ、煮干し、ミルワーム(ゴミムシダマシ科の幼虫)など。 ミルワームを与える場合は買ってきてすぐに与えてはいけない。カルシウムとリンのバランスが悪いため骨折しやすい体になる。したがって、ミルワームを育ててから、ハムスターに与える。

  • 種子類

おやつとして与える。ヒマワリ種、ピーナッツなど。脂肪分が多いので主食としてあげてはいけない。

  • その他

市販のビタミン剤や乳酸菌錠剤。ハムスターの健康状態によって必要ならば与える。

与えてはいけない食べ物[編集]

保温と保冷[編集]

ハムスターにとっての適温は20℃から25℃くらいとされている。室温が30℃を超えたり、15℃を下回ったりしないようにする。また、1日の気温差が10℃以上にならないようにする。

エアコンが使用できる場合はエアコンを使って温度調整をする事が望ましい。ただし、エアコンの風がケージに直接当たらないように注意する。

エアコンが使用できない場合は、保温、保冷が必要である。寒い時期は、ペット用のヒーターを使用したり、ケージをダンボール箱で囲むなどして寒くならないようにする。ヒーターを使う場合は暑くなりすぎないように注意し、逃げ場となる場所が出来るように設置する。 暑い時期は、保冷材や、ペットボトルに水を入れて凍らせたものをケージの上に置く事で対策する事ができる。この際、ケージ内に水が滴り落ちたり湿気が篭らないように注意する。

お手軽な保温としていらなくなった靴下を与えることも有効である。このとき入り口となるところのゴムを切っておくとよい。しかし、冬場の保温はペットヒーターやエアコンが主役であり、ハムスターのためにも購入しておきたい。

繁殖[編集]

ゴールデンハムスターは齧歯類の中でも特に性周期が安定しており、メスは4日間サイクルで発情を繰り返す。 発情したメスは、背中側のお尻周辺を触ったり、甘噛みされると、尾を上げ交尾姿勢をとる。 その時に交尾に成功すれば17日後に2-8匹程度の仔が産まれる。 出産後のメスは過敏になり、構い過ぎると仔を食殺してしまうので、出産後10日間はケージに布をかぶせてそっとしておく。

一度に大量に子ハムが生まれるため、飼い主は事前に子供の里親や自分で飼う準備などをしておく必要がある。無責任に生ませてはいけない。

また、種の違うもの(ゴールデンハムスター×ジャンガリアンハムスター、ジャンガリアンハムスター×キャンベルハムスター等)の交雑は、基本的に不可能であり、妊娠したとしても母体・子供に危険が及ぶ確率が高いので危険である。特にジャンガリアンハムスターとキャンベルハムスターを交雑させたものは一般のペットショップにも出回っていることがあり、注意する必要がある。

事故の実例[編集]

  • ハムスターが脱走中に熱帯魚の水槽に落ちて、おぼれる。
  • 近所の野良猫が家に入り込んで、ハムスターを傷つける。
  • ハムスターが散歩中、落ちていたチョコレートを食べて、中毒死する。
  • ハムスターが散歩中、飼い主や家族に踏みつけられる。
  • ハムスターが散歩中、上から重くて危ないものが落ちてくる。
  • 子供による、無茶な触り方をするなどの虐待死。
  • ハムスターが脱走中、ゴキブリ捕獲器(ゴキブリホイホイ等)に入り込み動けなくなり餓死する。

病気[編集]

ハムスターの病気が発覚したときは、すでに症状が進行してしまっている事が多く、ハムスターが健康なときから係り付け医を見つけておいて、すぐに対処できるようにすることが大切であり、生き物を飼う上での責任でもある。 病気対策は予防が基本である。ちゃんとした食事を与え、水も毎日取り替え、ケージ内も清潔に保っておく。特に肥満は体の小さいハムスターにとって心臓への負担が大きい。肥満の程度は個体によっても異なる。

病気の種類[編集]

アナフィラキシーショック[編集]

ハムスターに噛まれたりする事で、人間がアナフィラキシーショックを引きおこす事が知られている。

対策と注意点[編集]

  • 掃除をこまめにする。
  • ハムスターに触れた後は手をよく洗う。
  • 気管支喘息や皮膚炎などアレルギー性疾患を起こした事がある人は注意して接する。また病院でハムスターアレルギーであるかを検査してもらう。
  • アレルギーがある人は出来るだけハムスターを飼わないようにする。
  • やむをえずアレルギーを持っていて、ハムスターを飼う場合には直接手でハムスターに触れないようにゴム手袋や軍手などをして扱うようにする。
  • アレルギーのせいでハムスターを飼う事が出来なくなった場合は、里子に出すなどして新しい飼い主を見つけるようにする。

ハムスターをモチーフにした漫画やキャラクター[編集]

参考書籍[編集]

  • ハムスターのお医者さん : ハムスターパラダイス (主婦と生活社中村ちはる監修、 ISBN 4391123215)
  • ハムスターの上手な育て方—ハムスターパラダイス(2) (主婦と生活社、中村ちはる監修、 ISBN 391119935)
  • ハムスターの気持ちが100%わかる本—幸せな飼い主になるための「快適同居」図解辞典 (青春出版社、 ミニペット倶楽部 、ISBN 4413062620)
  • ハムスターの気持ちが100%わかる本〈2〉ドワーフ編 (青春出版社、 ミニペット倶楽部 、ISBN 441306299X)
  • ハムスター : ハムスターの飼育・医学・エサ・生態・歴史すべてがわかる (スタジオ・エス長坂拓也, 石橋徹監修、ISBN 4921197113)

外部リンク[編集]