「パーソナルコンピュータ」の版間の差分

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パーソナルコンピュータとは、IBM PC/AT, IBM PC/XT, IBM PCまたはその互換性のある仕様のコンピュータのことを指す。PCやパソコンとも呼ばれ、基本ソフトウェアはMicrosoft Windowsが主流。なお、Machintoshはパーソナルコンピュータの仕様ではないため、パーソナルコンピュータと呼ばれることはなかったが。最近はパーソナルコンピュータを直訳して個人のコンピュータとしての意味も普及しているため、Machintoshもパーソナルコンピュータに分類される場合がある。
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'''パーソナルコンピュータ'''とは、個人によって占有されて使用される[[コンピュータ]]のことである。
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略称は'''パソコン'''または'''[[PC]]'''(ピーシー)。
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==概要 ==
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パーソナルコンピュータは個人向けの大きさ・性能・価格を持ち、エンドユーザが直接操作できるように作られた汎用的なコンピュータである。
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従来の[[メインフレーム]]などの汎用コンピュータは大型・高価であったため巨大なデータ処理を切れ目なく行うためや多数のユーザが同時使用するために専任のオペレータを介して[[バッチ処理]]や[[タイムシェアリングシステム|タイムシェアリング]]を行っていたが比較的低価格な[[ミニコンピュータ]]、そしてパーソナルコンピュータの普及によりコンピュータを個人で独占使用することが広く行われるようになった2013年現在では、北米では家庭に平均2台のコンピュータがある。
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パーソナルコンピュータの種類には[[デスクトップパソコン|デスクトップ]]、[[ノートパソコン|ノートブック]]、[[タブレットPC]]などがあるが[[コンピュータ・アーキテクチャ|アーキテクチャ]]的にはほとんど同じものである。パソコンCPU市場は[[インテル]]が圧倒的なシェアを誇り、[[アドバンスト・マイクロ・デバイセズ|AMD]]がそれに次ぐ。両社がパソコン向けに供給する[[マイクロプロセッサ]]は全て[[x86]]互換である([[組み込みシステム]]で普及している[[ARMアーキテクチャ]]などは設計を多数のメーカーにライセンスする方式をとり、おびただしい種類の[[ASIC]]が存在するのとは対照的である)。
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[[1990年]]([[平成]]2年)頃までのパーソナルコンピュータは標準ではネットワーク機能を持たないシステムが多くハードウェアの性能的限界からシングルユーザの素朴な[[オペレーティングシステム]](OS)やオペレーティング環境([[CP/M]]や[[DOS (OS)|DOS]]、初期のWindowsなど)が使われ、ミニコンピュータや[[ワークステーション]]とは絶対的な機能の差があった。現在のパーソナルコンピュータの多くはミニコンピュータ用に設計されたシステムである[[UNIX]]や[[OpenVMS|VMS]]の成果を取り入れたOS([[OS X|Mac OS X]]や[[Windows NT系]])を搭載し、有線または[[無線]]の[[Local Area Network|LAN]]に標準で接続できるなどワークステーションとの境界は明確ではなくなっている。現在のパーソナルコンピュータ向けソフトウェアは[[インターネット]]にLANを通じてあるいは高速回線または[[ダイヤルアップ]]で直接接続し、[[World Wide Web|ウェブ]]やその他のサービスにアクセスできることを前提に設計されている。
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初期のパーソナルコンピュータではユーザが自分のマシン用に[[プログラム (コンピュータ)|プログラム]]を書く必要がある場合が多かったが、現在のユーザはそのまま実行可能な商用または非商用の幅広いソフトウェアを選ぶことができる。[[アプリケーションソフトウェア]]には[[ワープロソフト|ワープロ]]、[[表計算]]、[[データベース]]、[[ウェブブラウザ]]、[[電子メールクライアント]]、[[ゲームソフト]]および多数の業務用や娯楽のためのソフトウェアがある。
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[[1980年代]]末頃からはパーソナルコンピュータ市場では[[マイクロソフト]]とインテルが支配力を持っているため、[[Macintosh]]を除くx86プラットフォームは「[[Wintel|ウィンテル]]」と呼ばれることもある。ほかに[[Linux]]などの[[PC-UNIX]]も使用されている。[[PowerPC]]を搭載したパソコン([[CHRP]]/[[PAPR]]アーキテクチャ互換機)やARMアーキテクチャのCPUを用い[[RISC OS]]を搭載したパソコン([[Risc PC]]互換機)も存在するが売り上げは極めて小さく、市場ではほとんど存在感を持たない。
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なお日本では1980年代までは[[日本語]]表示のために各社独自仕様のパーソナルコンピュータが主流であったが、[[1990年代]]に世界と同様の[[PC/AT互換機|IBM PC互換機]]に移行した。
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[[2009年]]([[平成]]21年)現在の世界シェアは1位が[[ヒューレット・パッカード]](HP)、2位が[[エイサー (企業)|エイサー]]、3位が[[デル]]、4位が[[レノボ]]、5位が[[東芝]]である(出荷台数ベース、IDC調査)。
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==名称 ==
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「パーソナルコンピュータ」という用語は、[[1972年]]([[昭和]]47年)に[[アラン・ケイ]]が[[Association for Computing Machinery|ACM]] National Conferenceで発表した"A Personal Computer for Children of All Ages"の中で使用された。ここでは「個人のための理想のコンピュータ」という意味であり、それを「[[ダイナブック]]」と命名した。
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実際のパーソナルコンピュータは[[1974年]]([[昭和]]49年)に登場したが、[[CPU]]に[[マイクロプロセッサ]]を採用したコンピュータという意味で当初は主に「[[マイクロコンピュータ]]」('''マイコン''')や、あるいは主な用途により「ホームコンピュータ」や「[[ホビーパソコン]]」などと呼ばれた。これに対して「パーソナルコンピュータ」とは、当時の[[メインフレーム]]や[[ミニコンピュータ]]などやそれらの[[端末]]と対比した、個人が単体でも使用できるサイズや価格帯や用途を意味する呼称である。パーソナルコンピュータという表現は[[Apple II]]や[[PC-8000シリーズ]]でも使用されたが、世界的に広く普及したのは[[1981年]]([[昭和]]56年)の[[IBM PC]]以降である。
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==歴史 ==
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[[Image:パソコン5.jpg|500px|thumb|パソコン]]
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{{Main|パーソナルコンピュータ史}}
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===1970年代 8ビット時代 ===
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[[Image:パソコン6.jpg|500px|thumb|パソコン]]
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[[1974年]]([[昭和]]49年)に登場した[[マイクロプロセッサ]]により、個人でも所有可能な小型で低価格なコンピュータが実現可能になった。
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当初の[[ワンボードマイコン]]のキットは、技術者向けの評価キットおよびトレーニングキットで、入出力には[[テレタイプ端末]]等に代表される、従来のコンピューターに用いられた巨大で扱いに手こずる入出力端末を接続する必要があった。また、その接続作業においても専門的知識を必要とし、一般的なものではなかった。(一方、電子回路に詳しいアマチュアが部品を集めて自作し、個人で使用するコンピュータもあった。また、いわゆる[[ミニコンピュータ]]を個人で所有する者もいた)。
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最初のパーソナルコンピュータとされることが多い[[Altair 8800]]が[[1974年]]([[昭和]]49年)の末に生まれる。完成させると「箱にランプとスイッチ」というミニコンスタイルのコンピュータができあがるキットはそれ以前からあったにはあったが、Altairが初の安価なヒット製品であった。それ以降2-3年ほどの間で、[[Apple I]]のようにCRTディスプレイや[[キーボード (コンピュータ)|キーボード]]を接続するよう設計されているものなど、入出力が工夫された多数のマイコンキットが現れた。
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[[1977年]]([[昭和]]52年)、[[コモドール]]、[[アップル インコーポレイテッド|アップル]]、[[ラジオシャック|タンディ・ラジオシャック]]の各社から相次いで、本体がプラスチックケースにきれいにおさめられ[[BASIC]]インタプリタを内蔵し、[[オールインワン]]の完成品で出荷される、今日のパーソナルコンピュータの原型と言える型のコンピュータが登場する。これらはCRTディスプレイ、キーボード、そして外部記憶装置やプリンターのインタフェースを一通り備えており、ディスプレイに接続して電源プラグをコンセントに差し込みさえすれば動作するものであった。中でも'''[[Apple II]]'''は[[表計算ソフト]] [[VisiCalc]]が[[キラーアプリケーション]]となり大成功した。Apple IIは標準でカラー画像出力や音声出力に対応しており、パソコンゲームのプラットフォームとしても人気を博した。
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日本でも[[1970年代]]後半に、外国製や日本製のワンボードマイコンのキットが販売された。たいていは16進キーボードと8桁の7セグメント表示を備えており、組み立てるには最低限、簡単なハンダ付け工作の技術は必要であったものの、完全に完成させれば、単体で簡単なプログラミングが楽しめるものであった。特に[[1976年]]([[昭和]]51年)に発売された[[TK-80]]は、その中でも有名であり、この頃になってくると電子工作の知見も広がっていたので、購入者が独自の回路を組み込んだりして様々な機能を実現したり、自作のケースに組み込んだりすることも流行った。
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日本でもアメリカに続いて、上記に掲げた形態の完成品が販売されるようになった。初期の製品のいくつかは、マイコンと称されるかパソコンと称されるか曖昧であり、まず[[1978年]]([[昭和]]53年)に発売されたベーシックマスター[[MB-6880]]が現在のパソコンとされる形状およびシステム構成をとる姿で発売された。よく[[1979年]]([[昭和]]54年)のPC-8001([[PC-8000シリーズ]])が日本初のパソコンとされるが、実際は後でメーカー側の呼称により定義されたもので、(詳細は[[8ビットパソコン]]、[[パソコン御三家]]、[[ホビーパソコン]]等を参照)それより以前に発売された[[HITAC]]10もメーカー側より「パーソナルコンピューター」として発売されたが、実際はパーソナルコンピューター(個人用途のコンピューター)ではなく業務用コンピューターである。
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===1980年代 16ビット時代 オフィスへの普及 ===
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[[Image:パソコン7.jpg|600px|thumb|パソコン]]
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[[1981年]]([[昭和]]56年)に[[16ビット]]の'''[[IBM PC]]'''が登場して世界的にベストセラーとなり、IBM PCで採用された[[インテル]]のx86系のCPUと[[マイクロソフト]]の[[MS-DOS]]が主流([[事実上の標準]])となった。更に[[コンパック]]などにより[[PC/AT互換機|IBM PC互換機]]市場が形成され、「パーソナルコンピュータ」の名称が一般化した。表計算ソフトは[[Lotus 1-2-3]]、[[ワープロソフト]]は[[WordPerfect]](日本では[[一太郎]])が普及した。
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[[1984年]]([[昭和]]59年)に登場した'''[[Macintosh]]'''は[[グラフィカルユーザインタフェース]]の概念を大きく普及させることに成功し、後のコンピュータに絶大な影響をもたらした。[[1985年]]([[昭和]]60年)にはMacintosh向けに[[Microsoft Excel]]が登場し、そのインタフェースは後のWindowsアプリケーションの原型となった。
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しかし日本では「日本語表示の壁」もあり各社独自の日本語仕様が続き、異なったメーカー間では[[アプリケーションソフトウェア]]の[[互換性]]はほとんど無かった。16ビット市場では[[1982年]]([[昭和]]57年)の日本電気の'''[[PC-9800シリーズ]]'''がトップシェアを続け他には[[富士通]]の[[FM-11|FMシリーズ]]や[[FM TOWNS]]、[[セイコーエプソン]]のPC-9800互換機、個人向けに絞ったシャープの[[X68000]]、PC/AT互換機ベースのAX協議会の[[AX]]、日本語表示用に高解像度を標準採用した[[日本アイ・ビー・エム|日本IBM]]の[[マルチステーション5550]]などが競った。一方、IBM互換機の独自拡張である[[ダイナブック|DynaBook]]は場所を決めずにいつでもどこでも利用できる[[ノートパソコン]]を大きく広めるものとなった。また、より手軽に入手・使用できる廉価機として8ビットの[[MSX]]規格が[[ホビーパソコン]]として一定の普及をとげた。
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===1990年代 32ビット時代 パソコンのネット端末化 ===
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[[Image:パソコン8.jpg|600px|thumb|パソコン]]
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[[1990年代]]には[[ダウンサイジング]]の潮流もあり企業や個人へのパーソナルコンピュータの普及が進み、企業用のローエンドの[[サーバ|サーバー]]も[[IAサーバ|PCサーバー]]が広く普及した。1990年代初頭までは[[Amiga]]や[[コモドール64]]、[[Acorn Archimedes|アルキメデス]]などのホビーパソコンもなお一定のシェアを保っていたものの1990年代中盤以降の世界ではIBM PC互換機とMacintoshがパソコン市場の大多数を占めるようになった。
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[[1991年]]([[平成]]3年)には[[Microsoft Windows 3.x|Windows3.0]]、[[1995年]]には[[Microsoft Windows 95|Windows 95]]が発売され従来の「16ビット、DOS」から徐々に「32ビット、Windows」への移行が進み一部の高機能指向のユーザには従来のUNIX[[ワークステーション]]に匹敵する機能を持つ[[OS/2]]や[[Windows NT]]、さらに高機能な[[OPENSTEP]]が使われパーソナルコンピュータでの[[PC-UNIX]]の利用も行われはじめた。
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日本でも[[1990年]]([[平成]]2年)の[[DOS/V]]の登場、Windowsの普及とともに世界と同じPC/AT互換機への移行が進んだ。また[[アプリケーションソフトウェア]]の発達とパソコン本体の低価格化もあり、[[ワードプロセッサ|ワープロ専用機]]ユーザも[[ワープロソフト]]に移行していった。この過程で[[Microsoft Office]]が[[Lotus 1-2-3]]などを駆逐して[[オフィススイート]]のデファクトスタンダードとなった。
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1990年代中頃には'''[[インターネット]]'''が急激に台頭し、パーソナルコンピュータの[[World Wide Web|ウェブ]]端末としての利用が一般化した。このころ[[Netscapeシリーズ|Netscape]]や[[Internet Explorer]]などの間でウェブ標準をめぐって[[ブラウザ戦争|第一次ブラウザ戦争]]が発生した。[[1998年]]([[平成]]10年)には「インターネットのための新世代のパーソナルコンピュータ」と銘打った[[iMac]]が登場し社会現象となった。
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1990年代にはWindowsや[[マルチメディア]]アプリケーションの普及による「スピード飢餓」を背景にマイクロプロセッサの高性能化が急激に進んだ。[[アウト・オブ・オーダー実行|アウトオブオーダ実行]]、[[スーパースケーラ|スーパースカラ]]など従来スーパーコンピュータに使われていたような新技術が次々に投入され、[[1990年]]([[平成]]2年)頃は16-20MHz程度だったパソコン用[[CPU]]のクロックは[[2000年]]([[平成]]12年)には1GHzに達した。
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===2000年代 64ビット時代 家電製品としての進化と利用形態の多様化 ===
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[[Image:パソコン9.jpg|600px|thumb|パソコン]]
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[[2000年代]]には[[ノートパソコン]]が市場の主流になった。[[無線LAN]]や[[Bluetooth]]による無線接続も一般化し、パソコンの利用形態が多様化した。
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[[2001年]]([[平成]]13年)にはMacintoshのOSがOPENSTEPの技術を中心に作られた[[OS X|Mac OS X]]となった。また同年にはWindows NTをベースとした[[Windows XP]]が発売され、Windows NTとWindows 9x系の製品ラインの統合が行われた。
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[[2003年]]([[平成]]15年)には初の64ビットパソコンである[[PowerMac]] G5([[PowerPC 970]]を搭載)が発売され、続いてx86の[[64ビット]]拡張版である[[x64|AMD64]](x86-64)が登場した。OSはWindowsが依然主流だが、[[オープンソース]]の[[GNU/Linuxシステム]]なども一部で普及している。
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2000年代にはパーソナルコンピュータ([[PC/AT互換機]])の[[コモディティ化]]が進んだ。背景には、既に一般の会社や個人に行き渡ったこと、性能が[[過剰性能|オーバースペック]]気味になり買い換え需要を喚起しにくくなったこと、[[携帯電話]]などの新しい手軽な情報機器の普及などが挙げられる。独自プラットフォームを堅持し情報機器分野でも成功しているアップルを除くパソコンメーカーは、価格競争の激化による苦境に追い込まれ再編も相次いだ。[[2002年]]([[平成]]14年)にはヒューレット・パッカードによる[[コンパック]]の買収、[[2004年]]([[平成]]16年)にはIBMによるパーソナルコンピュータ事業の[[レノボ]]への売却や、[[ゲートウェイ (PCメーカー)|ゲートウェイ]]による[[eMachines]]の買収、[[2007年]]([[平成]]19年)には[[エイサー]]による[[パッカードベル]]やゲートウェイの買収など大手メーカーの再編や[[寡占]]化が進んだ。日本国内でも[[シャープ]]、[[日立製作所]]、[[三菱電機]]、[[三洋電機]]、[[ソーテック]]、[[高木産業]]、[[アキア]]、[[飯山電機]]などでパーソナルコンピュータ事業の縮小や撤退が進んだ。[[2011年]]([[平成]]23年)には世界トップメーカーのヒューレット・パッカードもパーソナルコンピュータ分野からの撤退を表明、一方でマイクロソフトが[[スマートフォン]]業界に参入するなど、情報機器分野へのシフトが進んでいる。
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一方、2000年代には多くの個人にパソコンが行き渡ったことにより、パソコンに接続して利用することを前提とした情報機器や家電製品が普及した。[[デジタルカメラ]]、[[デジタルオーディオプレーヤー]]はパソコン利用の広がりを背景に従来のフィルムカメラや[[ミニディスク]](MD)の需要の大半を置き換えた。[[2001年]]([[平成]]13年)、アップルはパソコンを各種のデジタル機器をつなぐハブ(中心)を担う「デジタルハブ」に据えるビジョンを提案し、[[iPod]]をWindowsにも対応させることによりこのコンセプトを普及させていった。他のパソコンメーカーもこれらの機器の情報を蓄積し、加工する機器としてパソコンを位置づけ需要を喚起している。
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[[2007年]]([[平成]]19年)からは最低限の性能・機能で3~5万円程度でも購入できるコンパクトなノートパソコンが普及し、後に[[ネットブック]]と呼ばれるジャンルを形成した。この背景には、クライアント側での処理は最低限にして[[ネットワーク]]の先の[[サーバ|サーバー]]側で処理の大半を行う[[クラウドコンピューティング]]などの普及が挙げられる。また[[AJAX]]などをベースにしたクラウドコンピューティングの普及を背景に[[ブラウザ戦争|第二次ブラウザ戦争]]が勃発、[[Safari]]、[[Google Chrome]]を筆頭とする[[WebKit]]系ブラウザや[[Mozilla Firefox]]が台頭し一時のInternet Explorer独占の状況は大きく変化している。
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===2010年代 タブレットの普及 ===
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2010年代に入る頃には、先進国だけでなく新興国でも市場の主流は[[ノートパソコン]]に移り、低価格化したノートパソコンがネットブックを駆逐した。また、この頃には汎用端末として[[スマートフォン]]が急速に普及し、[[Ultra-Mobile PC|UMPC]]など極小サイズのモバイルパソコンは消滅に向かった。
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2010年、Apple社の[[iPad]]([[iOS (アップル)|iOS]]搭載)発売を契機に、[[タブレット (コンピュータ)|タブレットコンピュータ]]が急速に普及した。タブレットコンピュータは古くから存在し、[[タブレットPC]]のようにパソコンとしてのアーキテクチャを持っていたものもあったが、ペンとキーによる操作性が消費者に十分に受け入れられず、普及に至っていなかった。iOSとAndroidは[[タッチパネル]]による洗練された操作性がスマートフォンとして既に市場に受け入れられており、iPadやAndroidタブレットはスマートフォンの拡大版として位置づけられたことで成功。ノートパソコンの市場を急速に侵食している。
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iPadやAndroidはデスクトップパソコンとの互換性を持たないが、マイクロソフトは[[2012年]]に発売したパソコン向けOS[[Microsoft Windows 8|Windows 8]]でタブレット向けOS[[Microsoft Windows RT|Windows RT]]と同様の操作性を採用し、タブレットとパソコンの境界は急速にあいまいになりつつある。
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一般的な用途では十分過ぎる程の性能を持つ低価格帯のノートパソコンが3万円以下の値を付けるなど、パソコンの更なる日用品化が急速に進行中である。
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最新の普及価格帯の製品では中古パソコンとほぼ並ぶ値段にまで値下がりしている。
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CMOSチップへのトランジスタの集積の限界が近付いているため、性能面での進化が遅くなり、開発は小型化や省電力化に重みが置かれているようである。
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==種類 ==
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形状や大きさによる分類には以下がある。但し分類の基準やそれぞれの呼称は、メーカー、シリーズ、時期などによって異なる。
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===デスクトップ型 ===
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{{Main|デスクトップパソコン}}
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机の上に置く形状のもの。従来は横型の筐体で上にディスプレイを置けるものを呼んだが、現在ではミニタワーなど机の上に置けるものを広く呼ぶ場合が多い。ノートブックと比較して拡張性が高く低価格で盗難されにくいため、企業で業務用に使用される場合が多い。初心者向けやデザイン重視でディスプレイを一体としたディスプレイ一体型、ノートブックを縦にしたような省スペース・省電力のスリム型、立方体に近い形状をしたキューブ型なども含まれる。初期にはキーボード一体型も存在した。
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===タワー型 ===
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形状により更にミニタワー、ミドルタワー、フルタワー、更にはマイクロタワー、スーパータワー、スリムタワーなどに分けられる。フルタワーやミニタワーはメンテナンス性に優れ内部拡張性が高いものが多い。
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===ラップトップ型 ===
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{{Main|ラップトップパソコン}}
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本体、ディスプレイ、キーボードをひとつの筐体に収めたもの。日本では[[ノートパソコン|ノートブック]]より一回り大きいものを指すが、世界的にはノートブックも「ラップトップ」の一部である。移動用のハンドルを備えたもの、バッテリを持たず電源接続が必須のものもある。
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===ノートブック型 ===
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{{Main|ノートパソコン}}
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A4ノートサイズ前後の大きさで、折りたたんで持ち運び可能なもの。サイズによって更にサブノート、ミニノート、後述の[[ネットブック]]などがある。比較的大きいものはDTR(デスクトップリプレイスメント)、トランスポータブルなどとも呼ばれる。
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===ネットブック ===
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{{Main|ネットブック}}
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ノートブックのうち特に小型・軽量・低価格で、性能や拡張性を割り切ったもの。
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===タブレット ===
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{{Main|タブレット (コンピュータ)}}
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[[液晶ディスプレイ]]が[[タブレット (コンピュータ)|タブレット]]となっており、ペンで文字入力やポインティングを行えるもの。
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===その他 ===
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====ウェアラブル ====
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{{Main|ウェアラブルコンピュータ}}
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時計型や頭部に装着するなど、身体に装着して使用するもの。
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====PDA ====
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{{Main|Personal Data Assistant}}
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手のひらに入るサイズのもので、パームサイズやハンドヘルドとも呼ばれる。通常はパーソナルコンピュータとは別の[[カテゴリ]]とされる。[[Pocket PC]]など。
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====スマートフォン ====
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{{Main|スマートフォン}}
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PDAに[[携帯電話]]機能をプラスし、さらにインターネット接続機能を持たせたもの。
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====ワークステーション ====
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{{Main|ワークステーション}}
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主に用途による分類で[[CAD]]などの画像処理、ディーリングなどの金融端末、大型コンピュータとの連携機能を持つ端末など比較的高性能のクライアントが多い。
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====サーバ ====
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{{Main|PCサーバ}}
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主に用途による分類でパーソナルコンピュータのアーキテクチャをベースとしながら、業務用(代表例は24時間365日連続稼働など)に耐え得る信頼性を実現する拡張が行われている。形状はタワー型やラックマウント型が多い。
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==ハードウェア ==
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<ol>
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<li>[[イメージスキャナ]]</li>
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<li>[[CPU]]([[マイクロプロセッサ]])</li>
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<li>[[主記憶装置]]([[メインメモリ]])</li>
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<li>[[拡張カード]]([[ビデオカード]]等)</li>
 +
<li>[[電源回路|電源ユニット]]</li>
 +
<li>[[リムーバブルディスク]]([[光ディスク]]等)</li>
 +
<li>[[ハードディスクドライブ|内蔵ハードディスク]]</li>
 +
<li>[[マザーボード]]</li>
 +
<li>[[スピーカー]]</li>
 +
<li>[[ディスプレイ (コンピュータ)|ディスプレイ]]</li>
 +
<li>[[システムソフトウェア]]</li>
 +
<li>[[アプリケーションソフトウェア]]</li>
 +
<li>[[キーボード (コンピュータ)|キーボード]]</li>
 +
<li>[[マウス (コンピュータ)|マウス]]</li>
 +
<li>[[ハードディスクドライブ|外部ハードディスク]]</li>
 +
<li>[[プリンター]]</li>
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</ol>]]
 +
典型的なパーソナルコンピュータは、以下のハードウェアから構成される。一般的な[[デスクトップパソコン]]の例で説明するが、[[ノートパソコン]]では一体化されている場合が多いものの各構成要素の基本機能は同じである。
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 +
===本体 ===
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====CPU ====
 +
{{Main|CPU|マイクロプロセッサ}}
 +
コンピュータの頭脳に当たる部品。中央処理装置。汎用の[[マイクロプロセッサ]](MPU)が使われる。安価なものは、[[インテル]]の[[Intel Atom|Atom]]・[[Celeron]]・[[Pentium]]や[[アドバンスト・マイクロ・デバイセズ|AMD]]の[[Athlon 64 X2]]・[[Sempron]]などがある。高性能・高価格ではインテルの[[Intel Core]]シリーズ、AMDの[[Phenom II]]などがある。
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 +
====メインメモリ ====
 +
{{Main|主記憶装置|Random Access Memory}}
 +
CPUの作業場所に当たる記憶装置。実行中の[[プログラム (コンピュータ)|プログラム]]や、CPUが操作中のデータが格納される。電源を切ると記憶内容は消えるため、補助記憶装置(ハードディスクドライブなど)に保管しておく。[[コンピュータグラフィックス]]などの画像処理、特に動画処理などではより多くの容量が必要とされる。
 +
 
 +
====外部記憶装置 ====
 +
{{Main|ハードディスクドライブ|Flash SSD}}
 +
[[オペレーティングシステム]]を含む各種の[[ソフトウェア]]や[[データ]]の格納場所として使われる。[[仮想記憶|スワップファイル]]としてメインメモリの一部のようにも使えるが、速度は遅い。内蔵型は固定ディスクとも呼ばれる。このほか、外付け型や着脱可能な[[リムーバブル]]型もある。
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パソコンの起動ディスクとしては[[ハードディスクドライブ]]が主に使われるが、2006年頃からは[[フラッシュメモリ]]の低価格・大容量化に伴い、モバイルマシンを中心に[[Flash SSD]]の利用も広がりつつある。
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ハードディスクドライブも年々、大容量化が進んでおり、[[2010年]]([[平成]]22年)には、3TBの物も発売された<ref>http://ascii.jp/elem/000/000/569/569259/ ASCII.jp:初の容量3TB HDD「WD30EZRS」が、いよいよ12日から販売開始!</ref>。
 +
 
 +
====メインボード ====
 +
{{Main|マザーボード}}
 +
パソコンの主要機器である[[CPU]]、[[メインメモリ]]、[[Graphics Processing Unit|GPU]]などを搭載する基盤で、メインメモリはソケットに挿入され交換できるようになっているようになっていることが多い。CPUも交換できるようになっている場合もある。コンピュータシステムは、メインボードに直付けの[[チップセット]]と、メインボード上のフラッシュメモリに搭載された[[ファームウェア]]により管理される。[[ATX]]、[[Mini-ITX]]などの規格がありケースによって使用可能な規格が異なる。
 +
 
 +
====拡張カード ====
 +
{{Main|拡張カード}}
 +
拡張カードは用途に応じてコンピュータを拡張できる。ビデオ(映像)信号をディスプレイに表示する[[ビデオカード]]、ネットワーク接続用の[[ネットワークカード]]、音声出力用の[[サウンドカード]]などがある。近年ではいずれの機能もメインボード上に標準で搭載され、ポータブルマシンでは拡張スロット自体がないことが多い。
 +
 
 +
====インタフェース ====
 +
{{Main|インタフェース (情報技術)}}
 +
周辺機器(後述)を接続するための差し込み口(ポート、端子)。以前はそれぞれの周辺機器に対応する専用のインタフェース([[レガシーデバイス]]ともいう)が備わっていたが、[[表示装置]]や[[イーサネット]]などを除き、[[ユニバーサル・シリアル・バス|USB]]や[[Thunderbolt]]、[[IEEE 1394]]ポートへ集約される傾向にある。
 +
 
 +
====電源ユニット ====
 +
{{Main|電源回路}}
 +
交流を直流に変換し、マザーボードやドライブ装置などに電力を供給する。[[ATX電源]]などがある。
 +
 
 +
====ケース ====
 +
{{Main|筐体}}
 +
パーソナルコンピュータの主要機器を収納するための箱。デスクトップパソコンでは、縦置きのミニタワー型、ミドルタワー型、フルタワー型などがある。またディスプレイ一体型、省スペース型(スリム型など)などの[[省スペースパソコン]]もある。
 +
 
 +
====リムーバブルディスク ====
 +
{{Main|リムーバブルディスク|光学ドライブ|光磁気ディスク|フロッピーディスク}}
 +
着脱可能なメディアを使用できる外部とのデータ交換用のドライブでかつては[[フロッピーディスク]]ドライブや[[光磁気ディスク|光磁気ディスク(MO)ドライブ]]などが使われたが現在は[[コンパクトディスク|CD]]、[[DVD]]、[[Blu-ray Disc|BD]]などの[[光学ドライブ]]が主流。DVDスーパーマルチドライブやBDドライブなど、複数規格のメディアが読み書きできるものが増えている。持ち運びを優先した小型ノートタイプや[[ネットブック]]では内蔵されない場合が多く、この場合はネットワーク経由や[[USBメモリ]]などを使用する。
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===周辺機器 ===
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パーソナルコンピュータの本体に接続する機器でありデータや命令を入力するキーボードなどの入力装置と結果を受け取るためのディスプレイやプリンターなどの出力装置、入力と出力を兼ねる外部ディスクドライブなどの入出力装置に大別される。
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====ディスプレイ ====
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{{Main|ディスプレイ (コンピュータ)}}
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コンピュータからの応答やデータ結果を表示するための装置。ノートパソコンには内蔵されている。デスクトップパソコン用のディスプレイは[[テレビ受像機]]のような形をしており、パソコン本体とケーブルで接続する。スピーカーやWebカメラを内蔵していたり、[[TVチューナー]]を内蔵しているものも存在する。対角15インチ以上のサイズのものが主に使われるが、USBポートに接続する小型のものもある。デスクトップパソコンのディスプレイは2000年頃までは[[ブラウン管]]が一般的であったが、2002年以降は[[液晶]]ディスプレイが主流となり、2006年までに完全にブラウン管と置き換わった。
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====キーボード ====
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{{Main|キーボード (コンピュータ)}}
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コンピュータに[[コマンド (コンピュータ)|コマンド]]や[[文字]]を入力するための機器。日本では現在は日本語[[キー配列#109キーボード|109キーボード]]が主流である。最近では大手メーカー製を中心に特定の機能([[電子メール]]機能、スピーカの音量調整など)に一発でアクセスできるワンタッチ[[押しボタン|ボタン]]を有する物が多い。現在はUSBで接続するものが多い。
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====マウス ====
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{{Main|マウス (コンピュータ)}}
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[[ポインティングデバイス]]の1つで片手に持って[[平面]]上を滑らせ、画面上の[[カーソル|ポインター]]を操作するための装置。ボタン類は、現在は上部に2つの[[押しボタン|ボタン]]とホイールボタンをもつものが主流である。動きの感知方式は当初はボール式であったが、現在は光学式(赤色可視光、レーザー、LEDなど)が主流である。接続方式は昔は専用ポートを使ったり汎用のシリアルポートを使ったりとまちまちであった。USBの提案以後はUSBの普及により現在はUSBが主流である。なおマウス以外のポインティングデバイスには[[タッチパッド]]や[[トラックボール]]もあり、マウスとも併用できる場合が多い。
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====その他 ====
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;[[スキャナ]]([[イメージスキャナ]])
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:外部から[[画像]](平面的な[[写真]]や[[印刷物]])をパソコン用のデータに変換して取り込むための装置。[[リバーサルフィルム|ポジ]]や[[ネガフィルム|ネガ]]などの[[写真フィルム|フィルム]]をスキャンできる機種もある。
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;[[デジタルカメラ]]
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:デジタル記録した写真画像データをパソコン内に取り込むために接続される。
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;[[スピーカー]]
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:パソコンの[[音声]]を出すための装置。主に[[ステレオ]]が多い。最近{{いつ|date=2011年10月10日JST}}の機種では、ディスプレイの画面から音声を出す物もある。
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;[[プリンター]]
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:[[文書]]や[[画像]]などを紙に印刷するための装置。カラーの[[インクジェットプリンター]]や[[レーザープリンター]]が主流である。最近ではパソコンなしで[[メモリーカード]]を直接挿入したりデジタルカメラとUSBケーブルで直接接続する事で、メモリカードやカメラ内に保存されている画像や文書を印刷する事も出来る。イメージスキャナとの[[複合機]]になったものもある。
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;[[デジタルオーディオプレーヤー|携帯音楽プレーヤ]]
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:インターネットで入手したり、手持ちの音楽CDからデジタル変換した音楽データをパソコンから送り込むため接続される。
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;[[モデム]]
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:[[ダイヤルアップ接続]]で[[インターネット]]へ接続する場合に必要な装置。ノートタイプのように本体に内蔵されている場合もある。[[ISDN]]を利用する場合は[[ターミナルアダプタ|TA]]が、[[ADSL]]の場合はADSLモデムが別途必要になる。
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;[[ビデオキャプチャー]]
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:ビデオ信号を動画データに変換して取り込む。
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;[[チューナー]]
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:古くはAM/FMラジオチューナー搭載モデル、次いでアナログTVチューナー搭載モデルが発売された事があったが普及をみなかった。日本ではデジタル放送 (TV) チューナーが[[2008年]]([[平成]]20年)ごろから普及しはじめ、[[薄型テレビ]]やHDD/DVD/BDレコーダー等の家電製品と同様に、パソコンで放送を録画、再生するようになっている。
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==ソフトウェア ==
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===オペレーティングシステム ===
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{{Main|オペレーティングシステム}}
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オペレーティングシステムはハードウェアとアプリケーションソフトウェアの中間に位置して、ユーザに[[ユーザインタフェース]]を提供するソフトウェアである。基本ソフト、システムソフトウェアとも呼ばれる。
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====Windows ====
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{{Main|Microsoft Windows}}
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[[マイクロソフト]]が提供する独自の[[オペレーティングシステム]]で、現在{{いつ|date=2011年10月10日JST}}はPC/AT互換機に搭載されるOSの主流になっている。
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====Mac OS X ====
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{{Main|OS X}}
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[[アップル インコーポレイテッド|アップル]]が提供する[[Unix系]]の独自のオペレーティングシステムで[[グラフィカルユーザインタフェース|GUI]]操作を基本とするが、UNIX互換の[[シェル]]も持つ。
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====PC-UNIX ====
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{{Main|PC-UNIX}}
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パーソナルコンピュータで稼働するUnix系オペレーティング環境。[[カーネル]]として[[オープンソースソフトウェア]]である[[Linux]]が使われるようになって普及した。[[Google Chrome OS]]もLinuxをベースとしている。[[ウィンドウシステム]]としては[[X Window System]]が標準になっている。
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===アプリケーションソフトウェア ===
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{{Main|アプリケーションソフトウェア}}
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オフィス用には[[ワープロソフト|ワープロ]]、[[表計算]]、[[データベース]]などやこれらをパッケージ化した[[オフィススイート]]などがある。ネットワーク用には[[ウェブブラウザ|Webブラウザ]]、[[電子メール|E-メール]]などがある。また個々の用途では[[ゲームソフト]]、各種業務ソフト、[[オーサリングツール]]、[[プログラミングツール]]などもある。いずれも商用のもの、[[オープンソース]]などライセンスに従えば無償でも利用できるものがある。またオペレーティングシステムに標準で含まれているものもある。
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==その他 ==
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===市場 ===
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1990年代前半までのNECのPC-9800シリーズ全盛時代はおおよそキーコンポーネンツ(主要部品)となるCPU(マイクロプロセッサ)の進化時期に対応した商品サイクルで半年から1年程度の商品サイクルとなっており、NECの新商品発売に少し遅れるタイミングでエプソンが対抗機種をNECより安い価格で発売する状態であったがWindows 95が本格的に立ち上がり始め多数の日本国外系メーカーが日本に参入を始めた[[1996年]]頃から商品サイクルの短期化が進み、モデル末期には希望価格の半額以下で投売りされることも多く生鮮食品に例えられるようになってきた。
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現在(2013年5月時点)では各社とも年3回(春・夏・秋冬)の新モデルの発売が定着し無理なシェア争いを回避する方針となって生産量も押さえ気味(機種によっては1カ月程度で生産完了の場合もある。[[Qosmio]] Gシリーズなど)にされ、かつてのように旧モデルの在庫品などを安く購入する手法は困難となっている。また、高機能モデルを投入するために進化論で有名なガラパゴス島になぞらえてガラパゴス進化と言われている。これに対して台湾系のASUSやACERなどは新興国市場に強く、北米や欧州市場でのニッチユーズが成功してるのに対して日本メーカーは構造転換が難しく各メーカーの収益性が問われている。
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また[[デルコンピュータ]]や[[ゲートウェイ (PCメーカー)|ゲートウェイ]]など[[アメリカ合衆国]]で実績を伸ばした比較的低価格で[[通信販売|直接販売]]するメーカーの日本への進出(後者は一度撤退後、再進出)もあり、現在<!--{{いつ|date=2011年10月10日JST}}-->(2013年5月時点)では主要メーカーのほとんどが、[[家電量販店]]などの店頭やOAディーラなど従来の流通ルートを使った販売と、自社[[ウェブサイト]]による直接販売(需要予測精度の向上の目的もある)の両方を行っている。
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[[秋葉原]]などの[[パソコンショップ]]では、[[マザーボード]]や[[ハードウェア]]などPCパーツだけでの販売もされているため、好みのパーツを購入してメーカー製にはないオリジナルのPCを完成させる人もいる(いわゆる[[自作パソコン|自作PC]])。PCを自作するのは、ただ単にPCが動けばいいという人とより高性能なものを求める人とに二分される。詳しくは[[自作パソコン]]を参照。
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===リサイクル ===
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[[半導体素子]]製造プロセスの急速な高度化(この様子は[[ムーアの法則]]などと表現される)の恩恵を受けてより高速・高機能な[[CPU]]を用いた製品が市場に投入され、そうした最新版のハードウェアに対応したソフトウェアが普及するにつれ旧型製品の買い替えサイクルは短くなる。そのため廃棄されるPCの台数が増加しており、資源の有効活用や環境保護の面から問題点が指摘されるようになった。そのため[[家庭電化製品]]と同様に「[[資源の有効な利用の促進に関する法律]]」の適用を受けることになり、メーカーによる回収・[[リサイクル]]が制度化された。
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これを受け[[2001年]]([[平成]]13年)[[4月1日]]から[[企業]]や[[個人事業主|個人事業者]]、[[2003年]]([[平成]]15年)[[10月1日]]から家庭用で不要となったパソコン本体(付属のキーボード・マウス・スピーカー・ケーブル類、単独の[[ディスプレイ (コンピュータ)|外部ディスプレイ]]含む。付属マニュアルやメディア、プリンターなどの周辺機器は除く)は各製品のメーカーが回収し、素材レベルに分解し資源として再利用される(中古品としての流用や部品取りは原則として行われない)。
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「PCリサイクルマーク」がついた家庭用PCは販売価格に回収処分の手数料が含まれているためリサイクルの費用は不要であるが、マークのついていない製品は新たに「回収再資源化料金」を負担する必要がある。自作PCやメーカーのパソコン事業撤退<ref>[[高木産業]]。かつて「PURPOSE」ブランドでパソコンを販売していたが、[[2003年]]([[平成]]15年)頃に撤退)[http://www.purpose.co.jp/special_form/index-haiki.html PURPOSEパソコンの廃棄について])</ref>・倒産した場合は、[http://www.pc3r.jp/index.html 有限責任中間法人パソコン3R推進センター]が有償で回収を行う。この制度を受けて、自治体などではPCの粗大ごみ収集・処分を行わないところが多い<ref>旧[[コンパック]]製品については、合併した[[ヒューレット・パッカード]]で回収を行っている。[[2001年]]([[平成]]13年)に一度日本から撤退した[[ゲートウェイ (PCメーカー)|ゲートウェイ]]製品については、再進出後の現日本法人で回収を行っている。</ref>。
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事業用のパソコンについては別途メーカーによる回収・リサイクル体制が整えられているが、[[産業廃棄物]]として処理される場合もある。
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そのほか従来から中古PC市場が形成されておりPC活用のノウハウを持った上級ユーザを中心に[[再利用]]されてきたが、中古品の品質保証や付属ソフトウェアのライセンス譲渡の点で不安を抱く購買者もいた。こうした市場、および環境問題への配慮していることのアピール、[[顧客満足度]]向上などをはかるため下取りした自社製PCを再生して「Refreshed PC」などとして中古販売ルートで販売するメーカーも出現した。
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==主なメーカー ==
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主なパーソナルコンピュータのメーカーは以下の通りである。大手メーカーの多くは[[クアンタ・コンピュータ]]、[[コンパル・エレクトロニクス]]などの台湾に本社を置く受託製造メーカーに[[OEM]]生産を委託しており、ノートパソコンに至っては世界の年間生産台数の約9割を台湾企業が手掛けている。
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{|class="wikitable"
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!国・地域名!!現存する主なPCメーカー!!かつて存在した主なPCメーカー
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|[[アメリカ合衆国|アメリカ]]||[[アップルコンピュータ|アップル]]<br>[[ヒューレット・パッカード|HP]]<br>[[デル]]<br>[[エバレックス]]||[[コモドール]](破産)<br>[[ラジオシャック|タンディ・ラジオシャック]](撤退)<br>[[アタリ (企業)|アタリ]](撤退)<br>[[IBM]](PC部門を[[レノボ]]に売却し撤退)<br>[[コンパック]](HPに吸収合併され[[ブランド]]名として存続)<br>[[ディジタル・イクイップメント・コーポレーション|DEC]](コンパックに買収)<br>[[ASTリサーチ]]([[サムスングループ|サムスン]]に買収)<br>[[:en:eMachines|イーマシーンズ]](ゲートウェイに買収)<br>[[ゲートウェイ (PCメーカー)|ゲートウェイ]](エイサーに買収され[[ブランド]]名として存続)<br>[[パッカードベル]](NEC傘下を経てエイサーに買収)<br>[[ユニシス]](撤退)
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|[[日本]]||[[日本電気|NEC]]<br>[[富士通]]<br>[[東芝]]<br>[[ソニー]]<br>[[パナソニック]]<br>[[エプソンダイレクト]]<br>[[オンキヨー]]<br>[[MCJ]]<br>[[ユニットコム]]<br>[[三菱電機]](企業向けのみ)||[[アキア]](廃業)<br>[[セイコーエプソン]](エプソンダイレクトに集約)<br>[[セガ]](撤退)<br>[[東芝パソコンシステム|ソード]](東芝に業務売却)<br>[[三洋電機]](撤退)<br>[[トミー]](撤退)<br>[[バンダイ]](撤退)<br>[[プロサイド]](撤退)<br>[[沖電気工業]](撤退)<br>[[アイワ]](ソニーに吸収合併、一時期[[PC/AT互換機]]を製造販売)<br>[[カシオ計算機]](撤退)<br>[[キヤノン]](撤退)<br>[[京セラ]](撤退)<br>[[高木産業]](撤退)<br>[[日本ビクター]](撤退)<br>[[ソーテック]](オンキヨーに買収されブランド名となる)<br>[[工人舎]](オンキヨーにPC事業統合し、工人舎ブランドは撤退)<br>[[日立製作所]](セキュリティ用に特化し一般向けは撤退)<br>[[シャープ]](撤退)<br>[[パイオニア]](一時期[[Macintosh互換機]]を製造販売)
 +
|-
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|[[台湾]]||[[エイサー (企業)|エイサー]]<br>[[ASUS]]<br>[[Micro-Star International|MSI]]||[[:en:MiTAC|マイタック]](モバイル用に特化し一般向けは撤退)<br>[[UMAX]](撤退)
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|-
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|[[中華人民共和国|中国]]||[[レノボ]]<br>[[方正]]<br>[[清華同方]]<br>[[ハイアール・グループ|ハイアール]]||
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|[[大韓民国|韓国]]||[[サムスン電子]]<br>[[LGエレクトロニクス]]<br>[[トライジェム]]||
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|[[ヨーロッパ]]||||[[シンクレア・リサーチ|シンクレア]](撤退)<br>[[アムストラッド]](撤退)<br>[[:en:International Computers Limited|ICL]](撤退)<br>[[オリベッティ]](PC部門を売却し撤退)<br>[[エイコーン・コンピュータ|エイコーン]](PC部門を廃止し解体)
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|}
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上記以外にもパソコンの製造メーカーはPCをベースとした専用機器やシステム販売、あるいは小規模なPCショップを含め多数存在するが、パソコンの内部に使われている部品は限られた企業が生産している。
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*[[CPU]]はアメリカの[[インテル]]が8割を占め、アメリカの[[アドバンスト・マイクロ・デバイセズ|AMD]]と台湾の[[VIA Technologies|VIA]]が残り2割を占める。
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*[[Graphics Processing Unit|GPU]]はデスクトップ製品ではアメリカの[[NVIDIA]]が4割弱、インテルが3割強、AMD(旧・[[ATI Technologies|ATI]])が2割を占め、その他に台湾のVIAと[[SiS]]などがある。ノートパソコンではインテルが5割、AMDと[[NVIDIA]]がそれぞれ2割を占める。
 +
*[[主記憶装置|メモリ]]は韓国の[[サムスン電子]]と[[ハイニックス半導体]](旧・[[現代電子]])が5割を占めドイツの[[キマンダ]](旧・[[インフィニオン・テクノロジーズ|インフィニオン]])、日本の[[エルピーダメモリ]]、アメリカの[[マイクロン・テクノロジ|マイクロン]]、台湾の[[Powerchip]]、[[Nanya]]、[[ProMos]]などで4割あまりを占める。
 +
*[[マザーボード]]は台湾の[[ASUS|ASUSTeK]]が全体の3分の1に及び同[[富士康]]([[鴻海精密工業]])、[[Micro-Star International|MSI]]、[[GIGABYTE]]などが続く。
 +
*[[ハードディスクドライブ|ハードディスク]]はアメリカの[[シーゲイト・テクノロジー|シーゲイト]]と[[ウェスタン・デジタル]]、日本の[[日立グローバルストレージテクノロジーズ]](旧・[[IBM]]のHDD製造部門)と[[東芝]]、[[富士通]]、韓国のサムスン電子で9割強を占める。
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 +
==脚注 ==
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;出典
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{{Reflist}}
 +
 
 +
==関連項目 ==
 +
*[[パーソナルコンピュータ史]]
 +
*[[パーソナルコンピュータ製品一覧]]
 +
*[[コンピュータ用語一覧]]
 +
*[[情報・通信・コンピュータ一覧の一覧]]
 +
*[[ノートパソコン]]
 +
*[[ネットブック]]
 +
*[[パソコンラック]]
 +
*[[インターネット]]
 +
*[[ユビキタス]]
 +
*[[スマートハウス]]
 +
*[[スマートグリッド]]
 +
 
 +
==外部リンク ==
 +
*[http://www.ism.ac.jp/computer_system/hist/Computers.html コンピュータ(計算機)の歴史]、[[統計数理研究所]]
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 +
{{Computer sizes}}
 +
{{コンピュータの構成要素}}
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 +
{{DEFAULTSORT:はあそなるこんひゆうた}}
 +
[[Category:パーソナルコンピュータ|*はあそなるこんひゆうた]]
 +
[[Category:コンピュータの形態]]
 +
[[Category:音声処理]]
 +
[[Category:スタジオ関連機材]]

2020年1月12日 (日) 18:33時点における最新版

パソコン
パソコン

パーソナルコンピュータとは、個人によって占有されて使用されるコンピュータのことである。

略称はパソコンまたはPC(ピーシー)。

概要[編集]

パソコン
パソコン

パーソナルコンピュータは個人向けの大きさ・性能・価格を持ち、エンドユーザが直接操作できるように作られた汎用的なコンピュータである。

従来のメインフレームなどの汎用コンピュータは大型・高価であったため巨大なデータ処理を切れ目なく行うためや多数のユーザが同時使用するために専任のオペレータを介してバッチ処理タイムシェアリングを行っていたが比較的低価格なミニコンピュータ、そしてパーソナルコンピュータの普及によりコンピュータを個人で独占使用することが広く行われるようになった2013年現在では、北米では家庭に平均2台のコンピュータがある。

パーソナルコンピュータの種類にはデスクトップノートブックタブレットPCなどがあるがアーキテクチャ的にはほとんど同じものである。パソコンCPU市場はインテルが圧倒的なシェアを誇り、AMDがそれに次ぐ。両社がパソコン向けに供給するマイクロプロセッサは全てx86互換である(組み込みシステムで普及しているARMアーキテクチャなどは設計を多数のメーカーにライセンスする方式をとり、おびただしい種類のASICが存在するのとは対照的である)。

1990年平成2年)頃までのパーソナルコンピュータは標準ではネットワーク機能を持たないシステムが多くハードウェアの性能的限界からシングルユーザの素朴なオペレーティングシステム(OS)やオペレーティング環境(CP/MDOS、初期のWindowsなど)が使われ、ミニコンピュータやワークステーションとは絶対的な機能の差があった。現在のパーソナルコンピュータの多くはミニコンピュータ用に設計されたシステムであるUNIXVMSの成果を取り入れたOS(Mac OS XWindows NT系)を搭載し、有線または無線LANに標準で接続できるなどワークステーションとの境界は明確ではなくなっている。現在のパーソナルコンピュータ向けソフトウェアはインターネットにLANを通じてあるいは高速回線またはダイヤルアップで直接接続し、ウェブやその他のサービスにアクセスできることを前提に設計されている。

初期のパーソナルコンピュータではユーザが自分のマシン用にプログラムを書く必要がある場合が多かったが、現在のユーザはそのまま実行可能な商用または非商用の幅広いソフトウェアを選ぶことができる。アプリケーションソフトウェアにはワープロ表計算データベースウェブブラウザ電子メールクライアントゲームソフトおよび多数の業務用や娯楽のためのソフトウェアがある。

1980年代末頃からはパーソナルコンピュータ市場ではマイクロソフトとインテルが支配力を持っているため、Macintoshを除くx86プラットフォームは「ウィンテル」と呼ばれることもある。ほかにLinuxなどのPC-UNIXも使用されている。PowerPCを搭載したパソコン(CHRP/PAPRアーキテクチャ互換機)やARMアーキテクチャのCPUを用いRISC OSを搭載したパソコン(Risc PC互換機)も存在するが売り上げは極めて小さく、市場ではほとんど存在感を持たない。

なお日本では1980年代までは日本語表示のために各社独自仕様のパーソナルコンピュータが主流であったが、1990年代に世界と同様のIBM PC互換機に移行した。

2009年平成21年)現在の世界シェアは1位がヒューレット・パッカード(HP)、2位がエイサー、3位がデル、4位がレノボ、5位が東芝である(出荷台数ベース、IDC調査)。

名称[編集]

「パーソナルコンピュータ」という用語は、1972年昭和47年)にアラン・ケイACM National Conferenceで発表した"A Personal Computer for Children of All Ages"の中で使用された。ここでは「個人のための理想のコンピュータ」という意味であり、それを「ダイナブック」と命名した。

実際のパーソナルコンピュータは1974年昭和49年)に登場したが、CPUマイクロプロセッサを採用したコンピュータという意味で当初は主に「マイクロコンピュータ」(マイコン)や、あるいは主な用途により「ホームコンピュータ」や「ホビーパソコン」などと呼ばれた。これに対して「パーソナルコンピュータ」とは、当時のメインフレームミニコンピュータなどやそれらの端末と対比した、個人が単体でも使用できるサイズや価格帯や用途を意味する呼称である。パーソナルコンピュータという表現はApple IIPC-8000シリーズでも使用されたが、世界的に広く普及したのは1981年昭和56年)のIBM PC以降である。

歴史[編集]

パソコン
詳細は パーソナルコンピュータ史 を参照

1970年代 8ビット時代[編集]

パソコン

1974年昭和49年)に登場したマイクロプロセッサにより、個人でも所有可能な小型で低価格なコンピュータが実現可能になった。

当初のワンボードマイコンのキットは、技術者向けの評価キットおよびトレーニングキットで、入出力にはテレタイプ端末等に代表される、従来のコンピューターに用いられた巨大で扱いに手こずる入出力端末を接続する必要があった。また、その接続作業においても専門的知識を必要とし、一般的なものではなかった。(一方、電子回路に詳しいアマチュアが部品を集めて自作し、個人で使用するコンピュータもあった。また、いわゆるミニコンピュータを個人で所有する者もいた)。

最初のパーソナルコンピュータとされることが多いAltair 88001974年昭和49年)の末に生まれる。完成させると「箱にランプとスイッチ」というミニコンスタイルのコンピュータができあがるキットはそれ以前からあったにはあったが、Altairが初の安価なヒット製品であった。それ以降2-3年ほどの間で、Apple IのようにCRTディスプレイやキーボードを接続するよう設計されているものなど、入出力が工夫された多数のマイコンキットが現れた。

1977年昭和52年)、コモドールアップルタンディ・ラジオシャックの各社から相次いで、本体がプラスチックケースにきれいにおさめられBASICインタプリタを内蔵し、オールインワンの完成品で出荷される、今日のパーソナルコンピュータの原型と言える型のコンピュータが登場する。これらはCRTディスプレイ、キーボード、そして外部記憶装置やプリンターのインタフェースを一通り備えており、ディスプレイに接続して電源プラグをコンセントに差し込みさえすれば動作するものであった。中でもApple II表計算ソフト VisiCalcキラーアプリケーションとなり大成功した。Apple IIは標準でカラー画像出力や音声出力に対応しており、パソコンゲームのプラットフォームとしても人気を博した。

日本でも1970年代後半に、外国製や日本製のワンボードマイコンのキットが販売された。たいていは16進キーボードと8桁の7セグメント表示を備えており、組み立てるには最低限、簡単なハンダ付け工作の技術は必要であったものの、完全に完成させれば、単体で簡単なプログラミングが楽しめるものであった。特に1976年昭和51年)に発売されたTK-80は、その中でも有名であり、この頃になってくると電子工作の知見も広がっていたので、購入者が独自の回路を組み込んだりして様々な機能を実現したり、自作のケースに組み込んだりすることも流行った。

日本でもアメリカに続いて、上記に掲げた形態の完成品が販売されるようになった。初期の製品のいくつかは、マイコンと称されるかパソコンと称されるか曖昧であり、まず1978年昭和53年)に発売されたベーシックマスターMB-6880が現在のパソコンとされる形状およびシステム構成をとる姿で発売された。よく1979年昭和54年)のPC-8001(PC-8000シリーズ)が日本初のパソコンとされるが、実際は後でメーカー側の呼称により定義されたもので、(詳細は8ビットパソコンパソコン御三家ホビーパソコン等を参照)それより以前に発売されたHITAC10もメーカー側より「パーソナルコンピューター」として発売されたが、実際はパーソナルコンピューター(個人用途のコンピューター)ではなく業務用コンピューターである。

1980年代 16ビット時代 オフィスへの普及[編集]

パソコン

1981年昭和56年)に16ビットIBM PCが登場して世界的にベストセラーとなり、IBM PCで採用されたインテルのx86系のCPUとマイクロソフトMS-DOSが主流(事実上の標準)となった。更にコンパックなどによりIBM PC互換機市場が形成され、「パーソナルコンピュータ」の名称が一般化した。表計算ソフトはLotus 1-2-3ワープロソフトWordPerfect(日本では一太郎)が普及した。

1984年昭和59年)に登場したMacintoshグラフィカルユーザインタフェースの概念を大きく普及させることに成功し、後のコンピュータに絶大な影響をもたらした。1985年昭和60年)にはMacintosh向けにMicrosoft Excelが登場し、そのインタフェースは後のWindowsアプリケーションの原型となった。

しかし日本では「日本語表示の壁」もあり各社独自の日本語仕様が続き、異なったメーカー間ではアプリケーションソフトウェア互換性はほとんど無かった。16ビット市場では1982年昭和57年)の日本電気のPC-9800シリーズがトップシェアを続け他には富士通FMシリーズFM TOWNSセイコーエプソンのPC-9800互換機、個人向けに絞ったシャープのX68000、PC/AT互換機ベースのAX協議会のAX、日本語表示用に高解像度を標準採用した日本IBMマルチステーション5550などが競った。一方、IBM互換機の独自拡張であるDynaBookは場所を決めずにいつでもどこでも利用できるノートパソコンを大きく広めるものとなった。また、より手軽に入手・使用できる廉価機として8ビットのMSX規格がホビーパソコンとして一定の普及をとげた。

1990年代 32ビット時代 パソコンのネット端末化[編集]

パソコン

1990年代にはダウンサイジングの潮流もあり企業や個人へのパーソナルコンピュータの普及が進み、企業用のローエンドのサーバーPCサーバーが広く普及した。1990年代初頭まではAmigaコモドール64アルキメデスなどのホビーパソコンもなお一定のシェアを保っていたものの1990年代中盤以降の世界ではIBM PC互換機とMacintoshがパソコン市場の大多数を占めるようになった。

1991年平成3年)にはWindows3.01995年にはWindows 95が発売され従来の「16ビット、DOS」から徐々に「32ビット、Windows」への移行が進み一部の高機能指向のユーザには従来のUNIXワークステーションに匹敵する機能を持つOS/2Windows NT、さらに高機能なOPENSTEPが使われパーソナルコンピュータでのPC-UNIXの利用も行われはじめた。

日本でも1990年平成2年)のDOS/Vの登場、Windowsの普及とともに世界と同じPC/AT互換機への移行が進んだ。またアプリケーションソフトウェアの発達とパソコン本体の低価格化もあり、ワープロ専用機ユーザもワープロソフトに移行していった。この過程でMicrosoft OfficeLotus 1-2-3などを駆逐してオフィススイートのデファクトスタンダードとなった。

1990年代中頃にはインターネットが急激に台頭し、パーソナルコンピュータのウェブ端末としての利用が一般化した。このころNetscapeInternet Explorerなどの間でウェブ標準をめぐって第一次ブラウザ戦争が発生した。1998年平成10年)には「インターネットのための新世代のパーソナルコンピュータ」と銘打ったiMacが登場し社会現象となった。

1990年代にはWindowsやマルチメディアアプリケーションの普及による「スピード飢餓」を背景にマイクロプロセッサの高性能化が急激に進んだ。アウトオブオーダ実行スーパースカラなど従来スーパーコンピュータに使われていたような新技術が次々に投入され、1990年平成2年)頃は16-20MHz程度だったパソコン用CPUのクロックは2000年平成12年)には1GHzに達した。

2000年代 64ビット時代 家電製品としての進化と利用形態の多様化[編集]

パソコン

2000年代にはノートパソコンが市場の主流になった。無線LANBluetoothによる無線接続も一般化し、パソコンの利用形態が多様化した。

2001年平成13年)にはMacintoshのOSがOPENSTEPの技術を中心に作られたMac OS Xとなった。また同年にはWindows NTをベースとしたWindows XPが発売され、Windows NTとWindows 9x系の製品ラインの統合が行われた。

2003年平成15年)には初の64ビットパソコンであるPowerMac G5(PowerPC 970を搭載)が発売され、続いてx86の64ビット拡張版であるAMD64(x86-64)が登場した。OSはWindowsが依然主流だが、オープンソースGNU/Linuxシステムなども一部で普及している。

2000年代にはパーソナルコンピュータ(PC/AT互換機)のコモディティ化が進んだ。背景には、既に一般の会社や個人に行き渡ったこと、性能がオーバースペック気味になり買い換え需要を喚起しにくくなったこと、携帯電話などの新しい手軽な情報機器の普及などが挙げられる。独自プラットフォームを堅持し情報機器分野でも成功しているアップルを除くパソコンメーカーは、価格競争の激化による苦境に追い込まれ再編も相次いだ。2002年平成14年)にはヒューレット・パッカードによるコンパックの買収、2004年平成16年)にはIBMによるパーソナルコンピュータ事業のレノボへの売却や、ゲートウェイによるeMachinesの買収、2007年平成19年)にはエイサーによるパッカードベルやゲートウェイの買収など大手メーカーの再編や寡占化が進んだ。日本国内でもシャープ日立製作所三菱電機三洋電機ソーテック高木産業アキア飯山電機などでパーソナルコンピュータ事業の縮小や撤退が進んだ。2011年平成23年)には世界トップメーカーのヒューレット・パッカードもパーソナルコンピュータ分野からの撤退を表明、一方でマイクロソフトがスマートフォン業界に参入するなど、情報機器分野へのシフトが進んでいる。

一方、2000年代には多くの個人にパソコンが行き渡ったことにより、パソコンに接続して利用することを前提とした情報機器や家電製品が普及した。デジタルカメラデジタルオーディオプレーヤーはパソコン利用の広がりを背景に従来のフィルムカメラやミニディスク(MD)の需要の大半を置き換えた。2001年平成13年)、アップルはパソコンを各種のデジタル機器をつなぐハブ(中心)を担う「デジタルハブ」に据えるビジョンを提案し、iPodをWindowsにも対応させることによりこのコンセプトを普及させていった。他のパソコンメーカーもこれらの機器の情報を蓄積し、加工する機器としてパソコンを位置づけ需要を喚起している。

2007年平成19年)からは最低限の性能・機能で3~5万円程度でも購入できるコンパクトなノートパソコンが普及し、後にネットブックと呼ばれるジャンルを形成した。この背景には、クライアント側での処理は最低限にしてネットワークの先のサーバー側で処理の大半を行うクラウドコンピューティングなどの普及が挙げられる。またAJAXなどをベースにしたクラウドコンピューティングの普及を背景に第二次ブラウザ戦争が勃発、SafariGoogle Chromeを筆頭とするWebKit系ブラウザやMozilla Firefoxが台頭し一時のInternet Explorer独占の状況は大きく変化している。

2010年代 タブレットの普及[編集]

2010年代に入る頃には、先進国だけでなく新興国でも市場の主流はノートパソコンに移り、低価格化したノートパソコンがネットブックを駆逐した。また、この頃には汎用端末としてスマートフォンが急速に普及し、UMPCなど極小サイズのモバイルパソコンは消滅に向かった。

2010年、Apple社のiPadiOS搭載)発売を契機に、タブレットコンピュータが急速に普及した。タブレットコンピュータは古くから存在し、タブレットPCのようにパソコンとしてのアーキテクチャを持っていたものもあったが、ペンとキーによる操作性が消費者に十分に受け入れられず、普及に至っていなかった。iOSとAndroidはタッチパネルによる洗練された操作性がスマートフォンとして既に市場に受け入れられており、iPadやAndroidタブレットはスマートフォンの拡大版として位置づけられたことで成功。ノートパソコンの市場を急速に侵食している。

iPadやAndroidはデスクトップパソコンとの互換性を持たないが、マイクロソフトは2012年に発売したパソコン向けOSWindows 8でタブレット向けOSWindows RTと同様の操作性を採用し、タブレットとパソコンの境界は急速にあいまいになりつつある。

一般的な用途では十分過ぎる程の性能を持つ低価格帯のノートパソコンが3万円以下の値を付けるなど、パソコンの更なる日用品化が急速に進行中である。 最新の普及価格帯の製品では中古パソコンとほぼ並ぶ値段にまで値下がりしている。

CMOSチップへのトランジスタの集積の限界が近付いているため、性能面での進化が遅くなり、開発は小型化や省電力化に重みが置かれているようである。

種類[編集]

形状や大きさによる分類には以下がある。但し分類の基準やそれぞれの呼称は、メーカー、シリーズ、時期などによって異なる。

デスクトップ型[編集]

詳細は デスクトップパソコン を参照

机の上に置く形状のもの。従来は横型の筐体で上にディスプレイを置けるものを呼んだが、現在ではミニタワーなど机の上に置けるものを広く呼ぶ場合が多い。ノートブックと比較して拡張性が高く低価格で盗難されにくいため、企業で業務用に使用される場合が多い。初心者向けやデザイン重視でディスプレイを一体としたディスプレイ一体型、ノートブックを縦にしたような省スペース・省電力のスリム型、立方体に近い形状をしたキューブ型なども含まれる。初期にはキーボード一体型も存在した。

タワー型[編集]

形状により更にミニタワー、ミドルタワー、フルタワー、更にはマイクロタワー、スーパータワー、スリムタワーなどに分けられる。フルタワーやミニタワーはメンテナンス性に優れ内部拡張性が高いものが多い。

ラップトップ型[編集]

詳細は ラップトップパソコン を参照

本体、ディスプレイ、キーボードをひとつの筐体に収めたもの。日本ではノートブックより一回り大きいものを指すが、世界的にはノートブックも「ラップトップ」の一部である。移動用のハンドルを備えたもの、バッテリを持たず電源接続が必須のものもある。

ノートブック型[編集]

詳細は ノートパソコン を参照

A4ノートサイズ前後の大きさで、折りたたんで持ち運び可能なもの。サイズによって更にサブノート、ミニノート、後述のネットブックなどがある。比較的大きいものはDTR(デスクトップリプレイスメント)、トランスポータブルなどとも呼ばれる。

ネットブック[編集]

詳細は ネットブック を参照

ノートブックのうち特に小型・軽量・低価格で、性能や拡張性を割り切ったもの。

タブレット[編集]

詳細は タブレット (コンピュータ) を参照

液晶ディスプレイタブレットとなっており、ペンで文字入力やポインティングを行えるもの。

その他[編集]

ウェアラブル[編集]

詳細は ウェアラブルコンピュータ を参照

時計型や頭部に装着するなど、身体に装着して使用するもの。

PDA[編集]

詳細は Personal Data Assistant を参照

手のひらに入るサイズのもので、パームサイズやハンドヘルドとも呼ばれる。通常はパーソナルコンピュータとは別のカテゴリとされる。Pocket PCなど。

スマートフォン[編集]

詳細は スマートフォン を参照

PDAに携帯電話機能をプラスし、さらにインターネット接続機能を持たせたもの。

ワークステーション[編集]

詳細は ワークステーション を参照

主に用途による分類でCADなどの画像処理、ディーリングなどの金融端末、大型コンピュータとの連携機能を持つ端末など比較的高性能のクライアントが多い。

サーバ[編集]

詳細は PCサーバ を参照

主に用途による分類でパーソナルコンピュータのアーキテクチャをベースとしながら、業務用(代表例は24時間365日連続稼働など)に耐え得る信頼性を実現する拡張が行われている。形状はタワー型やラックマウント型が多い。

ハードウェア[編集]

  1. イメージスキャナ
  2. CPUマイクロプロセッサ
  3. 主記憶装置メインメモリ
  4. 拡張カードビデオカード等)
  5. 電源ユニット
  6. リムーバブルディスク光ディスク等)
  7. 内蔵ハードディスク
  8. マザーボード
  9. スピーカー
  10. ディスプレイ
  11. システムソフトウェア
  12. アプリケーションソフトウェア
  13. キーボード
  14. マウス
  15. 外部ハードディスク
  16. プリンター
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典型的なパーソナルコンピュータは、以下のハードウェアから構成される。一般的なデスクトップパソコンの例で説明するが、ノートパソコンでは一体化されている場合が多いものの各構成要素の基本機能は同じである。

本体[編集]

CPU[編集]

詳細は CPU を参照

コンピュータの頭脳に当たる部品。中央処理装置。汎用のマイクロプロセッサ(MPU)が使われる。安価なものは、インテルAtomCeleronPentiumAMDAthlon 64 X2Sempronなどがある。高性能・高価格ではインテルのIntel Coreシリーズ、AMDのPhenom IIなどがある。

メインメモリ[編集]

詳細は 主記憶装置 を参照

CPUの作業場所に当たる記憶装置。実行中のプログラムや、CPUが操作中のデータが格納される。電源を切ると記憶内容は消えるため、補助記憶装置(ハードディスクドライブなど)に保管しておく。コンピュータグラフィックスなどの画像処理、特に動画処理などではより多くの容量が必要とされる。

外部記憶装置[編集]

詳細は ハードディスクドライブ を参照

オペレーティングシステムを含む各種のソフトウェアデータの格納場所として使われる。スワップファイルとしてメインメモリの一部のようにも使えるが、速度は遅い。内蔵型は固定ディスクとも呼ばれる。このほか、外付け型や着脱可能なリムーバブル型もある。

パソコンの起動ディスクとしてはハードディスクドライブが主に使われるが、2006年頃からはフラッシュメモリの低価格・大容量化に伴い、モバイルマシンを中心にFlash SSDの利用も広がりつつある。

ハードディスクドライブも年々、大容量化が進んでおり、2010年平成22年)には、3TBの物も発売された[1]

メインボード[編集]

詳細は マザーボード を参照

パソコンの主要機器であるCPUメインメモリGPUなどを搭載する基盤で、メインメモリはソケットに挿入され交換できるようになっているようになっていることが多い。CPUも交換できるようになっている場合もある。コンピュータシステムは、メインボードに直付けのチップセットと、メインボード上のフラッシュメモリに搭載されたファームウェアにより管理される。ATXMini-ITXなどの規格がありケースによって使用可能な規格が異なる。

拡張カード[編集]

詳細は 拡張カード を参照

拡張カードは用途に応じてコンピュータを拡張できる。ビデオ(映像)信号をディスプレイに表示するビデオカード、ネットワーク接続用のネットワークカード、音声出力用のサウンドカードなどがある。近年ではいずれの機能もメインボード上に標準で搭載され、ポータブルマシンでは拡張スロット自体がないことが多い。

インタフェース[編集]

詳細は インタフェース (情報技術) を参照

周辺機器(後述)を接続するための差し込み口(ポート、端子)。以前はそれぞれの周辺機器に対応する専用のインタフェース(レガシーデバイスともいう)が備わっていたが、表示装置イーサネットなどを除き、USBThunderboltIEEE 1394ポートへ集約される傾向にある。

電源ユニット[編集]

詳細は 電源回路 を参照

交流を直流に変換し、マザーボードやドライブ装置などに電力を供給する。ATX電源などがある。

ケース[編集]

詳細は 筐体 を参照

パーソナルコンピュータの主要機器を収納するための箱。デスクトップパソコンでは、縦置きのミニタワー型、ミドルタワー型、フルタワー型などがある。またディスプレイ一体型、省スペース型(スリム型など)などの省スペースパソコンもある。

リムーバブルディスク[編集]

詳細は リムーバブルディスク を参照

着脱可能なメディアを使用できる外部とのデータ交換用のドライブでかつてはフロッピーディスクドライブや光磁気ディスク(MO)ドライブなどが使われたが現在はCDDVDBDなどの光学ドライブが主流。DVDスーパーマルチドライブやBDドライブなど、複数規格のメディアが読み書きできるものが増えている。持ち運びを優先した小型ノートタイプやネットブックでは内蔵されない場合が多く、この場合はネットワーク経由やUSBメモリなどを使用する。

周辺機器[編集]

パーソナルコンピュータの本体に接続する機器でありデータや命令を入力するキーボードなどの入力装置と結果を受け取るためのディスプレイやプリンターなどの出力装置、入力と出力を兼ねる外部ディスクドライブなどの入出力装置に大別される。

ディスプレイ[編集]

詳細は ディスプレイ (コンピュータ) を参照

コンピュータからの応答やデータ結果を表示するための装置。ノートパソコンには内蔵されている。デスクトップパソコン用のディスプレイはテレビ受像機のような形をしており、パソコン本体とケーブルで接続する。スピーカーやWebカメラを内蔵していたり、TVチューナーを内蔵しているものも存在する。対角15インチ以上のサイズのものが主に使われるが、USBポートに接続する小型のものもある。デスクトップパソコンのディスプレイは2000年頃まではブラウン管が一般的であったが、2002年以降は液晶ディスプレイが主流となり、2006年までに完全にブラウン管と置き換わった。

キーボード[編集]

詳細は キーボード (コンピュータ) を参照

コンピュータにコマンド文字を入力するための機器。日本では現在は日本語109キーボードが主流である。最近では大手メーカー製を中心に特定の機能(電子メール機能、スピーカの音量調整など)に一発でアクセスできるワンタッチボタンを有する物が多い。現在はUSBで接続するものが多い。

マウス[編集]

詳細は マウス (コンピュータ) を参照

ポインティングデバイスの1つで片手に持って平面上を滑らせ、画面上のポインターを操作するための装置。ボタン類は、現在は上部に2つのボタンとホイールボタンをもつものが主流である。動きの感知方式は当初はボール式であったが、現在は光学式(赤色可視光、レーザー、LEDなど)が主流である。接続方式は昔は専用ポートを使ったり汎用のシリアルポートを使ったりとまちまちであった。USBの提案以後はUSBの普及により現在はUSBが主流である。なおマウス以外のポインティングデバイスにはタッチパッドトラックボールもあり、マウスとも併用できる場合が多い。

その他[編集]

スキャナイメージスキャナ
外部から画像(平面的な写真印刷物)をパソコン用のデータに変換して取り込むための装置。ポジネガなどのフィルムをスキャンできる機種もある。
デジタルカメラ
デジタル記録した写真画像データをパソコン内に取り込むために接続される。
スピーカー
パソコンの音声を出すための装置。主にステレオが多い。最近 いつ?の機種では、ディスプレイの画面から音声を出す物もある。
プリンター
文書画像などを紙に印刷するための装置。カラーのインクジェットプリンターレーザープリンターが主流である。最近ではパソコンなしでメモリーカードを直接挿入したりデジタルカメラとUSBケーブルで直接接続する事で、メモリカードやカメラ内に保存されている画像や文書を印刷する事も出来る。イメージスキャナとの複合機になったものもある。
携帯音楽プレーヤ
インターネットで入手したり、手持ちの音楽CDからデジタル変換した音楽データをパソコンから送り込むため接続される。
モデム
ダイヤルアップ接続インターネットへ接続する場合に必要な装置。ノートタイプのように本体に内蔵されている場合もある。ISDNを利用する場合はTAが、ADSLの場合はADSLモデムが別途必要になる。
ビデオキャプチャー
ビデオ信号を動画データに変換して取り込む。
チューナー
古くはAM/FMラジオチューナー搭載モデル、次いでアナログTVチューナー搭載モデルが発売された事があったが普及をみなかった。日本ではデジタル放送 (TV) チューナーが2008年平成20年)ごろから普及しはじめ、薄型テレビやHDD/DVD/BDレコーダー等の家電製品と同様に、パソコンで放送を録画、再生するようになっている。

ソフトウェア[編集]

オペレーティングシステム[編集]

詳細は オペレーティングシステム を参照

オペレーティングシステムはハードウェアとアプリケーションソフトウェアの中間に位置して、ユーザにユーザインタフェースを提供するソフトウェアである。基本ソフト、システムソフトウェアとも呼ばれる。

Windows[編集]

詳細は Microsoft Windows を参照

マイクロソフトが提供する独自のオペレーティングシステムで、現在 いつ?はPC/AT互換機に搭載されるOSの主流になっている。

Mac OS X[編集]

詳細は OS X を参照

アップルが提供するUnix系の独自のオペレーティングシステムでGUI操作を基本とするが、UNIX互換のシェルも持つ。

PC-UNIX[編集]

詳細は PC-UNIX を参照

パーソナルコンピュータで稼働するUnix系オペレーティング環境。カーネルとしてオープンソースソフトウェアであるLinuxが使われるようになって普及した。Google Chrome OSもLinuxをベースとしている。ウィンドウシステムとしてはX Window Systemが標準になっている。

アプリケーションソフトウェア[編集]

詳細は アプリケーションソフトウェア を参照

オフィス用にはワープロ表計算データベースなどやこれらをパッケージ化したオフィススイートなどがある。ネットワーク用にはWebブラウザE-メールなどがある。また個々の用途ではゲームソフト、各種業務ソフト、オーサリングツールプログラミングツールなどもある。いずれも商用のもの、オープンソースなどライセンスに従えば無償でも利用できるものがある。またオペレーティングシステムに標準で含まれているものもある。

その他[編集]

市場[編集]

1990年代前半までのNECのPC-9800シリーズ全盛時代はおおよそキーコンポーネンツ(主要部品)となるCPU(マイクロプロセッサ)の進化時期に対応した商品サイクルで半年から1年程度の商品サイクルとなっており、NECの新商品発売に少し遅れるタイミングでエプソンが対抗機種をNECより安い価格で発売する状態であったがWindows 95が本格的に立ち上がり始め多数の日本国外系メーカーが日本に参入を始めた1996年頃から商品サイクルの短期化が進み、モデル末期には希望価格の半額以下で投売りされることも多く生鮮食品に例えられるようになってきた。

現在(2013年5月時点)では各社とも年3回(春・夏・秋冬)の新モデルの発売が定着し無理なシェア争いを回避する方針となって生産量も押さえ気味(機種によっては1カ月程度で生産完了の場合もある。Qosmio Gシリーズなど)にされ、かつてのように旧モデルの在庫品などを安く購入する手法は困難となっている。また、高機能モデルを投入するために進化論で有名なガラパゴス島になぞらえてガラパゴス進化と言われている。これに対して台湾系のASUSやACERなどは新興国市場に強く、北米や欧州市場でのニッチユーズが成功してるのに対して日本メーカーは構造転換が難しく各メーカーの収益性が問われている。

またデルコンピュータゲートウェイなどアメリカ合衆国で実績を伸ばした比較的低価格で直接販売するメーカーの日本への進出(後者は一度撤退後、再進出)もあり、現在(2013年5月時点)では主要メーカーのほとんどが、家電量販店などの店頭やOAディーラなど従来の流通ルートを使った販売と、自社ウェブサイトによる直接販売(需要予測精度の向上の目的もある)の両方を行っている。

秋葉原などのパソコンショップでは、マザーボードハードウェアなどPCパーツだけでの販売もされているため、好みのパーツを購入してメーカー製にはないオリジナルのPCを完成させる人もいる(いわゆる自作PC)。PCを自作するのは、ただ単にPCが動けばいいという人とより高性能なものを求める人とに二分される。詳しくは自作パソコンを参照。

リサイクル[編集]

半導体素子製造プロセスの急速な高度化(この様子はムーアの法則などと表現される)の恩恵を受けてより高速・高機能なCPUを用いた製品が市場に投入され、そうした最新版のハードウェアに対応したソフトウェアが普及するにつれ旧型製品の買い替えサイクルは短くなる。そのため廃棄されるPCの台数が増加しており、資源の有効活用や環境保護の面から問題点が指摘されるようになった。そのため家庭電化製品と同様に「資源の有効な利用の促進に関する法律」の適用を受けることになり、メーカーによる回収・リサイクルが制度化された。

これを受け2001年平成13年)4月1日から企業個人事業者2003年平成15年)10月1日から家庭用で不要となったパソコン本体(付属のキーボード・マウス・スピーカー・ケーブル類、単独の外部ディスプレイ含む。付属マニュアルやメディア、プリンターなどの周辺機器は除く)は各製品のメーカーが回収し、素材レベルに分解し資源として再利用される(中古品としての流用や部品取りは原則として行われない)。

「PCリサイクルマーク」がついた家庭用PCは販売価格に回収処分の手数料が含まれているためリサイクルの費用は不要であるが、マークのついていない製品は新たに「回収再資源化料金」を負担する必要がある。自作PCやメーカーのパソコン事業撤退[2]・倒産した場合は、有限責任中間法人パソコン3R推進センターが有償で回収を行う。この制度を受けて、自治体などではPCの粗大ごみ収集・処分を行わないところが多い[3]

事業用のパソコンについては別途メーカーによる回収・リサイクル体制が整えられているが、産業廃棄物として処理される場合もある。

そのほか従来から中古PC市場が形成されておりPC活用のノウハウを持った上級ユーザを中心に再利用されてきたが、中古品の品質保証や付属ソフトウェアのライセンス譲渡の点で不安を抱く購買者もいた。こうした市場、および環境問題への配慮していることのアピール、顧客満足度向上などをはかるため下取りした自社製PCを再生して「Refreshed PC」などとして中古販売ルートで販売するメーカーも出現した。

主なメーカー[編集]

主なパーソナルコンピュータのメーカーは以下の通りである。大手メーカーの多くはクアンタ・コンピュータコンパル・エレクトロニクスなどの台湾に本社を置く受託製造メーカーにOEM生産を委託しており、ノートパソコンに至っては世界の年間生産台数の約9割を台湾企業が手掛けている。

国・地域名 現存する主なPCメーカー かつて存在した主なPCメーカー
アメリカ アップル
HP
デル
エバレックス
コモドール(破産)
タンディ・ラジオシャック(撤退)
アタリ(撤退)
IBM(PC部門をレノボに売却し撤退)
コンパック(HPに吸収合併されブランド名として存続)
DEC(コンパックに買収)
ASTリサーチサムスンに買収)
イーマシーンズ(ゲートウェイに買収)
ゲートウェイ(エイサーに買収されブランド名として存続)
パッカードベル(NEC傘下を経てエイサーに買収)
ユニシス(撤退)
日本 NEC
富士通
東芝
ソニー
パナソニック
エプソンダイレクト
オンキヨー
MCJ
ユニットコム
三菱電機(企業向けのみ)
アキア(廃業)
セイコーエプソン(エプソンダイレクトに集約)
セガ(撤退)
ソード(東芝に業務売却)
三洋電機(撤退)
トミー(撤退)
バンダイ(撤退)
プロサイド(撤退)
沖電気工業(撤退)
アイワ(ソニーに吸収合併、一時期PC/AT互換機を製造販売)
カシオ計算機(撤退)
キヤノン(撤退)
京セラ(撤退)
高木産業(撤退)
日本ビクター(撤退)
ソーテック(オンキヨーに買収されブランド名となる)
工人舎(オンキヨーにPC事業統合し、工人舎ブランドは撤退)
日立製作所(セキュリティ用に特化し一般向けは撤退)
シャープ(撤退)
パイオニア(一時期Macintosh互換機を製造販売)
台湾 エイサー
ASUS
MSI
マイタック(モバイル用に特化し一般向けは撤退)
UMAX(撤退)
中国 レノボ
方正
清華同方
ハイアール
韓国 サムスン電子
LGエレクトロニクス
トライジェム
ヨーロッパ シンクレア(撤退)
アムストラッド(撤退)
ICL(撤退)
オリベッティ(PC部門を売却し撤退)
エイコーン(PC部門を廃止し解体)

上記以外にもパソコンの製造メーカーはPCをベースとした専用機器やシステム販売、あるいは小規模なPCショップを含め多数存在するが、パソコンの内部に使われている部品は限られた企業が生産している。

脚注[編集]

出典
  1. http://ascii.jp/elem/000/000/569/569259/ ASCII.jp:初の容量3TB HDD「WD30EZRS」が、いよいよ12日から販売開始!
  2. 高木産業。かつて「PURPOSE」ブランドでパソコンを販売していたが、2003年平成15年)頃に撤退)PURPOSEパソコンの廃棄について
  3. コンパック製品については、合併したヒューレット・パッカードで回収を行っている。2001年平成13年)に一度日本から撤退したゲートウェイ製品については、再進出後の現日本法人で回収を行っている。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

テンプレート:Computer sizes テンプレート:コンピュータの構成要素